everynewborn

キプロスが世界で3番目に子供を安全に産める国らしい?

「キプロスは、日本、シンガポールに次いで、3番目に世界で最も安全に出産できる国である」

 

そういう趣旨の記事が、昨日Cyprus Mailというキプロスの英語ニュースサイトに掲載されました。記事を簡単に要約すると、次のようになります。

 

情報元は、Lancet Medical Journalという学術誌に発表されたレポートによれば、キプロスは世界で3番目に安全に出産できる国である。研究者たちは、世界195カ国の新生児出産を、「2012年における新生児1,000人当たりの死亡新生児の割合」に関して調査。その結果、日本1.1人、シンガポール1.2人、キプロス1.5人と算出された。因みに、2012年における年間死亡新生児の数は、キプロス20人、エストニア25人(以下略)となった。

EUからのベイルアウト(資金援助)以降、明るいニュースが少ないキプロスにとって、これは嬉しい報道ですね。キプロスで医療機関のお世話になったことがないので(ましてや産婦人科に足を運ぶ機会もないので)技術的な裏付けは何もありませんが、キプロスは子育てしやすい環境かなぁと感じます。気候が良く、地元の人達の人柄は朗らかで人情味がありますし、子どもは伸び伸びと成長するでしょうね。けれども、やっぱりちょっと掘り下げたい。。。

 

気づいた方もいるでしょうが、リンク先の記事には参照元のLancet Medical Journalのレポートについて、レファレンスが付いてないんですよね。そんな状況で、僕の溢れる知的好奇心(笑)がソース元まで僕を駆り立てました。記事には、“published ~ on Tuesday”とあるので、5/20に発表されたレポートがソースのはず。早速、Lancet~のウェブサイトを訪問してみました。こういう学術誌のサイトをチェックすると、留学時代を思い出すなあ。

 

lancet

 

さて、僕の留学話は置いといて(興味がある方は、別ブログをチェックして下さい)、ジャーナルのウェブサイトを見渡すと、Feature(特集)欄に5/20発表のそれらしいレポートを発見しました。が、“Cyprus”でスキャンしても1ワードもヒットしません。気を取り直して、サイトの検索窓でキーワードで絞り込むと、5/2付けの学術論文が出てきました。“Global~ levels of neonatal(新生児の) ~ mortality(死亡)~”というタイトル。おっ、これっぽい!と同時に、「5/20じゃないじゃん!」と心の中でツッコみました。

 

サマリーから判断すると、PDF形式の論文内容はこんな感じらしいです。

  • 生後5才未満の新生児の死亡率を5つのカテゴリー(生後0~6日、生後7~28日、生後29~364日、生後1~4年、0~4年)に分けて調査。調査国188カ国。1990年~2013年までの推移比較。
  • データサンプルは29,000。死亡率は、新生児100,000人当たりの死亡児、で測定。

 

Cyprus Mailの記事が書いてたような、ランキング形式にはなってませんでしたが、論文内には各国ごとの調査結果が表にまとめられてました。ニュース記事に基づいて、キプロス、日本、シンガポールについて、2013年における生後4才以下の赤ちゃん1,000人当たりの死亡児の数を取り上げると、

 

キプロス 4.1人/1,000人 日本 3.0人/1,000人 シンガポール2.3人/1,000人

 

記事と数値はちょっと違うけど、3国間の順位は変わらず。でも、

 

「子育てしやすい国って言ったら、北欧じゃないの?」

 

そう考える方が多いと思います。僕もそう思ったので、北欧4カ国のデータを論文からさらってみました。上の論文の調査によると、結果は次の通りです。

 

スウェーデン2.7人/1,000人 フィンランド3.0人/1,000人 ノルウェー3.0人/1,000人 デンマーク3.8人/1,000人

 

うん。すごく腑に落ちる結果です。だけど、2点意外だったのは、シンガポールが北欧4カ国よりも死亡児の数が少ないということと日本がスウェーデン以外の3カ国よりも死亡児数が少ないということ(あくまで、この論文の結果では)。

 

結局、正確なソース元が不明なので新聞記事がどこまで正確かは不透明ですが、この論文の調査に基づくと、キプロスは、世界で3番目に子供を安全に産める国(正確には、新生児死亡率が世界で3番目に小さい国)ではない、ということになります。しかし、キプロスという国が、地球上の大半の国・地域、ひいては先進国の中でもかなり新生児死亡率が少ない国であるとは言えそうです(因みにキプロスより結果が悪いEU国は、イギリスは4.9/1,000人、スイス4.3/1,000人など)。

 

記事にしろレポートにしろ、書く側の人間は出典をきっちりと整備するのが大切ですね。一方、読み側の立場の人にとっては、ニュースや報道の裏を取ることはやっぱり重要ですね。こんなオチですみません(汗)

 

References:

Cyprus third safest place to be born, May 21 2014, Cyprus Mail.

Global, regional, and national levels of  neonatal, infant, and under-5 mortality during 1990-2013: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2013, May 2 2014, the Lancet.

Photo: Some right reserved by thelancet.com

 

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キプロスが世界で3番目に子供を安全に産める国らしい?」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 子供に寛容でない国で子供が増えるわけがない | 海外FX新人社員奮闘日記

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