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“トビタテ!留学JAPAN”が、それほど「トビタテ」そうにない内容

ひっそりと、今年から官民共同で、日本人留学生増加を推進するプロジェクトが始まりました。その名も、「トビタテ!留学JAPAN」。簡単な経緯や目的は、このBLOGOSの記事がよくまとまっています。300人の採用枠に1,700人の応募があったというのは、経済面で留学を思いとどまっていた人達が相当数いることを明らかにしましたし、企業から集まった66億円の寄付金も大きな後押しになるでしょう。しかし、募集要項に目を通してみると、2つばかり疑問・心配が浮かんできました。

 

  • 財源に対して、支援内容・方法が不十分ではないか?

  • 留学支援の対象範囲が狭すぎるのではないか?

 

それぞれの懸念について1つ1つ掘り下げてみようと思います。

 

(1)従来の奨学金制度との違いが見当たらない

募集要項によると、募集コースが4つに分かれているものの支援内容は次のように共通しているようです。

 

授業料支援:最大30万円/年

月額奨学金:一部欧米・中東大都市20万円/月、北米・欧州・中近東16万円/月、一部東アジア・東南アジア・オセアニア大都市14万円/月、東アジア・その他12万円/月

留学準備金:アジア地域10万円、その他20万円

 

直感的に、66億円の企業寄付金と文科省の財源(いくらかは不明)を合算した財源に対して、上記の支援内容はあまりにも見劣りしすぎな感じがします。気になるので、簡単な試算をしてみます。ここで、次のように仮定しましょう。

 

  • 300人全員が大学留学または大学院留学をする
  • 留学先に関する文部科学省の調査に基づいて、300人の採用学生の留学先が、アメリカ110人、中国86人、イギリス20人、オーストラリア12人、台湾12人、ドイツ12人、カナダ10人、フランス10人、韓国6人、ニュージーランド6人その他16人(中東8人、中南米4人、アフリカ4人)である

すると、上記の支援内容の年間金額は次のように計算できます。

 

  • 授業料支援総額:最大0.9億円/年
  • 留学準備金:アジア1,040万円+それ以外3,920万円=およそ0.5億円
  • 年間奨学金総額:5.53億円/年(内訳=アメリカ2.38億、中国1.24億、イギリス0.43億、オーストラリア0.2億、台湾0.17億、カナダ0.19億、フランス0.22億、韓国0.09億、ニュージーランド0.1億、中東0.16億、中南米0.06億、アフリカ0.06億)
  • 年間支援額は最大6.93億円/年

 

このプロジェクトの財源が最低66億円あるわけですから、支給額は予算の範囲内です。では、この支給額6.93億円は、1年間の留学費用をカバーするに足るのでしょうか?このウェブサイトを参考に、年間留学費用の目安が350万円/年と仮定すると、300人の留学費用は10.5億円/年となります。この金額まで引き上げても、この先6年間は寄付金だけで賄えるのですから、もう少し支給金額を積みましても問題ないはずです。

 

正直、300人の枠の大きさで一人平均231万円/年支給してくれる奨学金制度は非常にオイシイんですが、せっかくの官民共同の一大事業なわけですから、普通の奨学金ができないことをやって欲しいですよね。例えば、外貨での一括支給とか。一括で奨学金を支払ってくれる団体はすごく少ないし、ましてや現地通貨で支給してくれる国内奨学金なんて皆無です。今回の募集要項によると、奨学金の支給方法は次のようになります。

(3)奨学金等の支給方法

派遣留学生への奨学金等の支給は在籍大学等を通じて行います。

留学期間中は、毎月、在籍大学等から奨学金支給のための確認の連絡がありますので、在

籍大学等との連絡を密にできるようにしてください。

事務手続等の詳細は追って別文書にて案内します。

 

日本の大学と違って、海外の大学では、入学当初に授業料の一括納入が要求されることを役所は知らないんでしょうね。これが改善されたら、留学生にとっては最高に利用しやすい制度になるはずなのに。。。

 

 

(2)既卒学生や高校生も対象にいれたらどうか

募集内容およびQ&Aには、応募資格について次のように記載があります。

本制度で支援する派遣留学生とは、日本国籍を有する学生又は日本への永住が許可されている学生で、次の(1)~(6)に掲げる要件を全て満たす学生になります。

(1)本制度で実施する事前・事後研修及び留学生ネットワークに参加する学生

(2)在籍大学等において、学位取得を目的とした課程に在籍する学生

(3)在籍大学等が派遣を許可し、留学先機関が受入れを許可する学生

(4)機構の第二種奨学金に掲げる家計基準を満たす学生

(5)留学に必要な査証を確実に取得し得る学生

(6)留学終了後、在籍大学等に戻り学業を継続する学生又は在籍大学等の学位を取得する学生

 

Q1-14.(学生)日本の高等教育機関の学生ではありませんが(既卒者、海外大学等の在籍者、社会人等)、応募できますか。

A1-14.

このプログラムの支援対象は、「我が国の大学、大学院、短期大学、高等専門学校、専修学校(専門課程)に在籍する学生」であり、それ以外の方は応募要件を満たしません。

 

Q1-17.(学生)高校生でも応募できますか。

A1-17.

今回の募集については残念ながらできません。しかし今後、「地域人材コース」「高校生コース」の募集を開始予定ですので、その際に公表される募集要項等を御確認ください。

 

大学在籍者のみを支援の対象とするのだったら、日本学生支援機構の奨学金との違いが見えないし、民間・その他財団法人の奨学金よりも見劣りしてしまいます。せっかく、官民共同でプロジェクトを立ち上げたわけですから、今までの奨学金制度が取りこぼしてきた、留学準備中の既卒者・現役高校3年生・大学受験浪人生などに対して門戸を開くような度量の大きさを示してくれても問題はないはずです。

 

文部科学省が本気で「若者の海外留学促進実行計画」を達成しようと考えているなら、あまり杓子定規にならず、柔軟で融通の利く制度に仕上げていくのがいいと思います。今回の募集が第1回ですので、徐々にブラッシュアップされて改善されていくことを期待します。

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  1. ピンバック: 語学留学を成功させるための秘訣 | ex‐海外FX新人社員奮闘日記

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