swiss franc

スイスフランショック

1/15(木)、スイスフラン急変という事象が発生しました。これは、為替業界において、過去に類を見ないほど大きなインパクトをマーケットにもたらしました。株式で言うところの、ブラックマンデー級の事件でした。おそらく、市場関係者は(僕も含めて)、今回の出来事とその顛末を一生忘れないでしょう。週が明けて、色々と情報が出揃いつつあるので、ここで振り返ってみたいと思います。

 

 

まず、事の発端は、1/15(木)にSNB(スイス国立銀行)がある声明を市場に向けて発表したことでした。その声明とは、「2011年以来維持していた、ユーロ/スイスフランの為替上限レート1.2000を撤廃すること」。これにより、スイスフランは急騰し、ユーロ/スイスフランのレートは1.2から0.8近くまでおよそ30%も急落しました(ドルに対しても同程度急騰)。

 

 

投資家達の間では、スイスフランは日本円同様、安全資産とみなされており、スイスフランを利用したキャリートレード(スイスフランで資金調達して、他の通貨へ投資)が盛んでした。つまり、1/15当日も、市場には、大量のユーロ/スイスフランの買いポジションが存在していたわけです。そのため、ユーロ/スイスフランのレートが急落したため、相当数の投資家が損失を被りました。日本国内のブローカーはレバレッジ25倍規制を受けていますが、海外ブローカーでは100倍~500倍くらいの高レバレッジが当たり前ですので、海外投資家の損失は国内ブローカー利用者のそれと比較するのもバカらしくなるくらい膨大な額です。

 

 

スイスフランの急変を受けて、各ブローカーは一斉にコメントを出しました。顧客への注意喚起だったり、スイスフラン決済価格の変更・調整だったり、ブローカーが被った損失だったり、色々ありました。主要ブローカーの状況を整理してみると、次のようになります。

 

Alpari UK

顧客自身がカバーできないほどの損失を抱えてしまい、その金額はAlpari自身も処理できないほどでした。結果として、イギリス当局が課す自己資本比率規制を維持できなくなり、破綻状況に追い込まれました。日本法人であるアルパリジャパンは営業停止状態になりました。

追記:最新の報道によれば、アメリカ大手のFXCMがAlpariの買収先として浮上しているようです。

 

 FXCM

Alpariの買収先として上がっているFXCM自身もピンチを迎えました。FXCMの顧客は2億2,500万ドルの損失を抱えました。結果として、同社の債務が膨らみ、自己資本規制の順守が困難となり、アメリカの投資銀行グループであるリューカディア・ナショナルがFXCMに対して3億ドルを融資する事態となりました(期間は2年間、利率は10%)。

日本法人であるFXCMジャパンは通常通り営業継続しています。

 

IG Group

同じくイギリス大手のIG Groupは3,000万ポンドの損失を抱えました。しかし、経営状態に影響は見られないそうです。日本法人も通常営業しています。

 

Gain Capital

顧客・株主宛のステートメントで、重大な影響なしとのコメントを出しました。日本法人であるForex.comジャパンはプレスリリースを出していません。

 

Saxobank

デンマーク系のSaxobankは顧客向けステートメントにて、監督官庁が求める自己資本規制を問題なく順守していることを強調しています。

 

国内ブローカー各社

GMOクリック:ステートメントなし

DMM:スイスフランの一時取引停止について声明発表

SBI:スイスフランの不安定なレートについての注意喚起

マネックス:プレスリリースはないが、報道によるとスイスフラン急変を受けた未収金残高は130万ドルあるが、経営への影響はないとのこと

 

ここまで、事のあらましと各ブローカーの状況を触れてきましたが、気になるのは、「なぜSNB(スイス国立銀行)は政策転換したのか?」ということです。

 

 

1/15付けの声明の中で、SNBは「ユーロ/スイスフランの上限レート1.2000はもはや維持不可能である」と弁解していました。さらに、「ユーロの価値低下に伴いスイスフランの割高感が減退したため、上限レートを維持する正当性がなくなった」と、SNBは強調しています。興味深いことに、「主要国の通貨政策間の違いが目立ち始めている」と言及しており、来週のECB会合での追加的QE(金融緩和)を仄めかしているようにも受け取れます。

 

ただ、SNB側に政策決定をする動機があったとしても、市場に与える影響を無視して唐突に政策転換を宣言することは、いわゆる「中央銀行文学」としては、ルール違反な印象が否めません。まずは、市場に政策変更を匂わせ、市場全体が政策変更が近いうちにあると受け入れる環境が醸成されてから、声明を発表するべきでした。

 

いずれにせよ、ギリシャの総選挙も近づいており、今年もヨーロッパの政治経済から目が離せそうにありません。

 

Photo: Some rights reserved by somewheregladlybeyond


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スイスフランショック」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: はたして国内FX市場は旨味のあるマーケットなのか? | ex‐海外FX新人社員奮闘日記

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